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「…こんにちはー」
がたがたと立付けの良くない引き戸をなるべく慎重に開き、山本はひょこりと中を覗いて遠慮がちに声をかけた。
玄関先はちょっとした吹き抜けになっていて、二階に続く黒ずんだ木の階段と、一階奥に続く広い廊下が良く見えた。手前の石造りのたたきにはスペースの開き気味な大きな靴箱と、こちらは傘やモップや箒や、およそ棒状のもので満杯な傘立てが据えられている。
――呼びかけた声の響きが消えても、返事は無いままだった。
夕暮れに差し掛かった寮の中は薄暗く、しんと静まり返っている。およそ人の気配というものが感じられなくて、山本は首をかしげた。三月末という時期柄、帰省している生徒も多いのだろうが、それでも誰もいない、ということは考えにくい。
(……鍵、開いてたしなあ)
人がいないのに上がりこむのにも気が引けて、玄関口に立ったまま落ちつかない気分できょろきょろとあたりを見回した。
確かこの寮は、寮母さんとその助手の二人によって切り盛りされていたはずだ。…寮の中にはいなくとも、きっと敷地を回ればそのどちらかは見つけられるだろう。
(とりあえず、もう一度呼んでみっかなあ)
そう思って、すう、息を吸い込んだ瞬間。
「何だてめぇ」
唐突に頭上から声が投げかけられて、山本は危うく出しかけた大声を飲み込んだ。
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なんだか続いてます
がたがたと立付けの良くない引き戸をなるべく慎重に開き、山本はひょこりと中を覗いて遠慮がちに声をかけた。
玄関先はちょっとした吹き抜けになっていて、二階に続く黒ずんだ木の階段と、一階奥に続く広い廊下が良く見えた。手前の石造りのたたきにはスペースの開き気味な大きな靴箱と、こちらは傘やモップや箒や、およそ棒状のもので満杯な傘立てが据えられている。
――呼びかけた声の響きが消えても、返事は無いままだった。
夕暮れに差し掛かった寮の中は薄暗く、しんと静まり返っている。およそ人の気配というものが感じられなくて、山本は首をかしげた。三月末という時期柄、帰省している生徒も多いのだろうが、それでも誰もいない、ということは考えにくい。
(……鍵、開いてたしなあ)
人がいないのに上がりこむのにも気が引けて、玄関口に立ったまま落ちつかない気分できょろきょろとあたりを見回した。
確かこの寮は、寮母さんとその助手の二人によって切り盛りされていたはずだ。…寮の中にはいなくとも、きっと敷地を回ればそのどちらかは見つけられるだろう。
(とりあえず、もう一度呼んでみっかなあ)
そう思って、すう、息を吸い込んだ瞬間。
「何だてめぇ」
唐突に頭上から声が投げかけられて、山本は危うく出しかけた大声を飲み込んだ。
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なんだか続いてます
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