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REBORN山本と音楽と本と漫画の徒然話ブログ。更新記録も
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「海の向こうには、私の国には無い音楽が沢山あると聞いて御座りました。──それをどうしてもこの耳で聴いて、この心で感じたかったので」

一体どういう幸運と因果に恵まれたのか。
清国経由の貿易船に潜りこんだ末、幾度も遭遇しただろう危険も摘発もすり抜け、まんまとイタリアに不法入国まで果たしてしまった不思議な東洋人の尋問中。彼は唯一言葉の通じたジョットに向けてあっけからんとそう言い放ったという。
「それで、国を飛び出して船に乗ったんだそうだ」
やれやれ困ったものだ、と首を振って、しかし表情は隠すこともなく楽しそうなまま、俺に事の顛末を語ったジョットは声を弾ませて続けたものだった。「……通訳してやったときのアラウディの顔といったら、見物だったぞ」
なあ? と振り返る先には、裾の長い見たこともない衣服を纏った東洋人がいて、ああこいつがそうなのだなと聞かずとも察せられた。
視線の先、男は何やら思案気な表情をしてジョットに小首を傾げてみせた。
「……、………?」
薄い唇から発せられた言葉は、数ヶ国語を解する俺も聞いたことのないものだった。
「ああ、紹介が遅れたな。こいつはG。俺の幼馴染みだ。…G、こいつは雨月という。日本国の出身だそうだ」
イタリア語は通じないという話だったが、ジョットの言葉を聞いた異国人はこちらに向け柔らかく笑み、頭を下げる東洋風の礼をした。ほら、とジョットが促して、次いで手が差し出された。

「────よろしく」


握手を交わしながら、黒く深い瞳にじっと見つめられて。それにどうもひどく居心地の悪さを覚えた。


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ずっと考えてるんだけど遅々として進まない初代話をもういっそ途中までブログに置いてみる。

きっと雨月は山本が野球好きなのと同じくらい音楽が好きで
穏やかに見えてものすごく自由奔放に大胆なことをしでかす人だと思ってます。
 

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並盛の町、とくに何の変哲もない、どこにでもありそうな中心街商店街の中に、竹寿司という小さな寿司屋がある。
小さいながらも味がいいことで知られたその店の店主は中年の男で、弟子も取らずにその男一人で繁盛する店を切り盛りしている。とくに忙しい時などは店主のまだ中学生の息子も店の手伝いをするらしく、寿司桶を荷台に括りつけて自転車に乗ったり、店の奥から時折姿をのぞかせることもある。

その竹寿司が、必ず貸し切りになる一日が、一年に一度だけある。

その日が店主の溺愛している一人息子の誕生日だということは商店街で有名な話なのだが、どうも数年前から様子がおかしい、と周囲の店主たちは首をひねっている。ずっと慎ましく親子二人で誕生日を祝っていた様子だったのが、何やらここ最近は年々賑やかに、なおかつ訪問者がバラエティ豊かに――ストレートに言うなら柄が悪かったり、奇抜な格好をしていたりと――なっているのだ。
ある店主はモヒカン頭のサングラスのニューハーフと金髪頭の少年が、黒衣の赤ん坊を抱いて暖簾をくぐるのを見たし、またある学生はこの町に君臨し恐れられている学ラン姿の風紀委員長が、引き戸を静かに閉めるところを見た。ある主婦は金髪のモデルのような男が黒いサングラスの厳ついスーツ軍団を引き連れて店にぞろぞろと入っていくのを見た。夜遅くに眼帯をつけた小柄な少女が恐る恐る戸を叩いているのを見た人間も、銀髪長髪の男が大きな魚を手に、殴りこみと見紛うような勢いで店に踏み込んでいくのを見た人間もいる。
息子の友人であろう中学生やその弟かと思われる赤ん坊と子供たちだけならまだしも、なんとも不思議な面々に、商店街の中でそれは毎年小さな話題のタネになっている。が、それがけして否定的なものにならないのは、ひとえに店主と息子の人柄と、そしてその日、小さな寿司屋から漏れ聞こえてくる、騒々しくも楽しそうな笑い声のために違いなかった。


命伸びゆく春盛り。
今年もその日がやってくる。




四月二十四日。山本武、お誕生日おめでとう!

「だってね、相手が現れたときにわたしの後ろに隠れるのよ!それも毎回毎回!」

もうほんとしんじらんない!と、目の前の少女は頬を紅潮させて、形のいい眉とアーモンド型の目とを吊り上げて早口でまくし立てた。
ぷんぷんとかぷりぷりとかいう擬音がつきそうなその様子に、机を挟んで向かい合う黒髪の男は内心でかわいいなあ、とほのぼのした感想を抱きつつ、うんうん、と頷いた。
「今日だってそうだったのよ。そりゃ、いきなり側で爆発が起きて、びっくりするのはわかるの。でも」
白いテーブルクロスが広げられた机の上には、苺のショートケーキがふたつと、紅茶と緑茶が乗っている。カップからは薄く湯気が昇り、南向きの大きな窓からは、正午をだいぶ回った柔らかな春の日差しがいっぱいに差し込んでいる。まったく平和で穏やかな午後のひとときだ。
「でもね、そこでわたしの背中にしがみついて『イーピン、どうしよう!』は無いと思うの!」
ばん!と景気のいい音が響いて、白い手のひらがテーブルを叩く。紅茶と緑茶の水面がゆらゆら揺れた。まあまあ、と宥めるように声を掛けながら、男は緑茶が入っている方の、和風の湯呑みを手に取った。
「で。――それがさっきの喧嘩の原因だったってこと?」
「そうよ」
まだ怒りがおさまりきらない少女が、憤然とした様子で椅子に腰掛け直す。つい先刻繰り広げられていたケンカ、というには些か派手な騒ぎを思い出して、男の笑みに小さく苦笑が混じった。ティーカップに伸ばされる白く細い指や、華奢であどけない風情からは想像もつかないが、この少女はマフィア界でも将来を嘱望される殺し屋の卵なのだ。
「…たまには自分で何とかしなさいよって言ったの。私が動けないときはどうするのって。そしたらなんて言ったと思う?」
「うん?」
「……『僕は逃げ足早いから問題ないよ』、って」
もうほんとしんじらんない、と、再び少女は繰り返した。
悔しげにきゅっと寄った眉根に、うっすら赤く色づいた目尻に、テーブルの上で握りしめられた白い手に。男は少し表情をあらためる。きれいなお下げ髪を両側に垂らして俯かせた顔に浮かんでいるのは、単純な怒りだけではない。
(あんたなんてだいっきらい!)
廊下を曲がった瞬間に飛び込んできた声と、ぱしんという乾いた音とを思い出す。
ほっておかれっぱなしの少年には、きっとなぜこれほど彼女が怒ったのか見当がついていないことだろう。普段気障を気取っているわりに、肝心なところで彼は女心の機微に疎い。きっとこの少女がどんな気持ちでその言葉を受け止めたかなんて、考えも及んでいないに違いない。


どうしたら、いいのかな
どうしたら、ハルさんみたいに見てもらえるのかな。
かわいくしてればいいのかな。マフィアなんてやめちゃえばいいのかな。


最初の威勢を忘れたように。小さな小さな声で呟く少女の、細い肩に降り注ぐ日差しはどこまでも柔らかい。


「――イーピン」
湯呑みから立ち上る湯気を無言のまま顎に受けていた男が、不意に口を開いた。
「イーピン、髪を解いてみせてくれねーかな?」
「…え?」
余りといえば余りにも唐突な依頼に、少女は眉をひそめて瞬きした。不審そうなその表情へ、男は屈託なくにこりと笑いかける。
「俺、見たことねーんだ。イーピンが三つ編みほどいたとこ」
「……でも」
「頼むよ」
促す男の瞳は、差し込む春の光のように、どこまでも穏やかで優しい。それに押されるようにして、少女は立ちあがった。編んだ髪を止めるゴムを外す。ひとつ頭を振ればウエーブのついた髪がふわりと広がって、春の光に柔らかく光った。
「………」
椅子に座ったままじっと自分を見つめる男を、少女は困ったように見つめ返す。満足したように微笑んで男は頷き、さらにもう一度、「うん、」と確かめるように頷いた。

「可愛いよ」

言われた言葉を咄嗟に掴めずにいた少女の頬に、一瞬遅れて、かあっと赤味がさした。
「……!」
「すごく可愛い」
いとおしいものを見守るような優しい顔で、男は言葉を重ねる。その表情とストレートな言葉に、さらに少女は顔を赤く染め上げた。
反論をこころみて何度か口を開閉させ、だが結局あきらめた様子で、細い体はすとんと椅子に下ろされた。広がる髪を手で押さえながら、上目遣いで拗ねたように目の前の男を睨む。頬はまだ真っ赤なままだ。
「……ずるいです、そういうの」
「―――。 そうかな。」
困ったように眉を下げる男に、少女は口を尖らせた。
「ずるいですよ。」ぷい、と視線が逸らされる。「……ツナさんが言ってた意味がわかった」
「…ツナ?」
「山本さんがタラシだって。人タラシって言ってた」
タラシって、ツナひでーなあ。苦笑して頭を掻く男につんと横顔を向け、でも少女の唇は小さく綻んだ。
この男のことはよく知っている。いつだって優しくそれとなく人を気遣うけれど、けして御世辞なんて言わない。心の全てを口にすることはけしてないけれど、心にもないことなんて絶対言わない。
明るく優しいだけじゃない。裏が無いわけじゃない。でも、いつだって彼は真剣で誠実だ。

――それを、よく知ってる。


ふふ、と今度こそ満面の笑みを見せ、少女は男を見上げて小首を傾げた。
「お紅茶、冷めちゃった。――入れ直すのに付き合ってもらっていいかな、人タラシな山本さん」
「タラシな俺でよければ、お付き合い致します。イーピンお嬢さん」
芝居がかった仕草でウインクをひとつ落とし、男は差し出された手を恭しく取った。

 


……数日後、男が泣き出す寸前の顔をした少年に、「山本さん、イーピンに手を出したってほんとですか!」と問いつめられたのは、また別の話。
 



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一つの話を書くのになんでこんなに時間かかるかなーと悲しくなりますが
それがもう自分のスタイルだと思ってあきらめることにしました。

イーピンはランボが好き。ランボはにぶちんでハルが初恋の人。
山本はみんなのいいお兄ちゃん。
そんな感じでひとつ。
「……派手にやられたわね」
目の前に転がる瓦礫と土の山を見渡しながら、ビアンキは低く呟いた。
爆発の規模から、被害が甚大だろうことの予想はしていた。だが、予想のさらに上を行かれた形だ。案内された基地の入り口周辺は被害が少なかったのだと、今更ながらに来た道を振り返る。白く切り取られたような外の光が遠くかすんで見えた。
電気系統が全て死んでいるため中は暗い。スパナとジャンニーニが組み立てた簡易の小型投光機と、おのおのが持ち込んだ懐中電燈だけが、今のところ視界確保の命綱だ。こんな様子で本当に目的の物が見つかるのか、ちらりと不安が過った。その不安を払拭するように、ジャンニーニが明るい声をかけてくる。
「大丈夫ですよ。この基地は横じゃなく下に広がる形だし、あらゆる自体に備えて強度も強くしてあります。補助の発電設備も各階につけてますから。……ここはひどい有様ですが、他の階はそんなに損傷ないはずですよ」
「――そう。」
ならよかったという一言は、ここまで連れ立ってきた少年を思い出して、胸の中だけにとどめた。
ついさっきまで周辺を駆けずり回ってスクアーロの姿を探していた山本は、今はビアンキの目の前で黙々と瓦礫の山を崩している。積み上がるコンクリートの塊に片端から手を掛けては横にどけているのだが、その様子はどうみても焼け石に水だ。放り出された形になっている懐中電灯の光は、土の露出した壁にぼんやり白い輪を描いていた。
切り傷だらけになりつつある手にひとつため息を落として、ビアンキは瓦礫に組み付く少年に声をかけた。
「……落ちつきなさい。そんな闇雲に探したって見つかりっこないわよ」
スパナ、と続いて呼ばれ、振り返った金髪男が眠そうな目をしばたかせる。
「――何?」
「確か、警戒用に炎探知の装置を持ってきてたわよね」
「…小型のだけどね」
「それ、今ここでサーモセンサーに改造できないかしら?」
「できる」
「どの位かかる?」
「あれはそもそもがサーモセンサーを基にしてる。すぐできる」
「じゃあお願いするわ」
その会話を聞いているのかいないのか。──恐らく耳にも入っていないのだろう。なお黙々と手を動かし続ける山本に、ビアンキはぽんと何かを放った。反射的にそれを受け取め、ようやく山本は我に返ったようにビアンキを見上げた。
「あなたの手はまだ刀を握る役目があるんでしょう。ちゃんと労ってやりなさい」
放られたものに視線を落とす。小さく丸まったそれは、広げてみると灰色の作業用手袋だった。
しばしの間の後、ありがとう、と呟いてそれを付け、山本は再び瓦礫に向き直った。ビアンキもそれを止めはしなかった。

 

* * *

できた、という声がしたのは、それから20分ほど後だった。
スパナが電源を入れると、携帯ゲーム機ほどの小さな画面にぼんやりと光点が4つ浮かび上がった。……4つ。それ以外には光はない。横で食い入るように覗き込んでいる山本の呼吸が、一瞬、ひゅっと詰まったのがビアンキに伝わった。
「これが座標です。今座標の基準を私たちの足元に設定しますから──、はい。これでOKです」
画面の横の数字が並んだサブディスプレイを示しながら、ジャンニーニが手早く説明をする。「…縮尺は20mから10kmまで自由に設定できます。──今は最大になってますね。で、申し訳ないんですが何せ簡易型なもので、探索精度があまり高くありません。平面空間上は問題ないんですが、上下が特に弱いです。」
「……それに障害物も問題だ」顔を顰めてスパナが付け足す。「遮られると探知しにくくなるから。…近くまでいかないと反応しない場合がある」
「充分よ。ありがとう」
頷いて、ビアンキは山本を顧みた。
「──これは、あなたが持って。」
「………え」
小さな声を上げて、ぎくりと山本は差し出された機械を凝視した。
「一番これを必要としているのは、あなたでしょう」
「…………」
ほら、と促すようにさらに差し出せば、逸らすように視線が泳ぐ。困ったように寄せられた眉根を見て、ビアンキは眉を顰めた。向き直って半歩踏み出せば明らかに体が退いた。退いた体の横で、頑なに握られた拳が微かに震えた。

(──ああ、)

その光景が、ビアンキの疑問をすっと溶かした。

(……恐がっているんだわ、これを)

この小さな機械を。あまりにもはっきりと命の存在、そして不在を示すこの機械を、目の前の少年は恐れている。もしずっとこの機械に光点が映らなかったらと、今はそればかりが頭を支配しているのに違いない。
漂う沈黙を振り払うように、ビアンキはひとつ頭を振った。次いで、空いたほうの手を軽くスピードをつけて翻す。勢いのついたその掌を受け、軽い音を立てて山本の頬が鳴った。叩くというには弱く、撫でるというにはいささか強い衝撃に、山本はぱちぱちと目を瞬かせた。
未だ子供の幼さを残す頬に手のひらを添えたまま、ビアンキはじっと目の前の色素の薄い瞳を覗き込んだ。
「しっかりしなさい、山本武。あなたはスクアーロを探して、助けるためにここまで来たんでしょう?」
「──ビアンキ姉さん」
数年ぶりに聞く、懐かしい呼び方だった。
立ち尽くす少年に被せるように、十年後の男の声を、姿を思い出す。……あの男が自分を名前だけで呼ぶようになったのは、一体いつ頃からだったろう。そんなことを思いながら、記憶にある十年後より一回りも二回りも細い手首をとる。上に向けさせた掌の上に探索機を握らせ、その上から静かに手を置いた。まだ薄い掌は、しっとりと汗を浮かべて冷たかった。

「いい? 必ず見つかると、そう信じて探すの。……それが探し物のコツよ」
 

-----------------


ひさびさに。
次がいつになるかわからないけど一人祭開催

メローネ基地でミルフィオーレの連中と戦ったあのガキが、幻騎士(――そういえば俺も昔戦った相手だ。どうにも薄気味の悪い胸糞悪い相手だった)と戦って手酷い負け方をした、らしい。らしいというのはその場に俺がいなかったからで、勝敗についても戦況についてもアルコバレーノやボンゴレ十代目から直接聞いたのではなく、跳ね馬経由でごく簡潔な内容を聞いただけだからだ。
かつて自分を負かした男、今や曲がりなりにもボンゴレ二大剣豪などと自分と並び称されるようになったあの男のそんな無様な負け方を知って、黙っていられるわけもなかった。十年前から来たと言っても、未来に来てから鍛錬も積んだろうし箱の使い方も学んだはずだ。何より今のあいつらの手元にはボンゴレリングがある。それでいて負けたとはどういうことだと扉を蹴ってアジトを飛び出し、足音高く乗り込んだ日本の地下基地。
 

そこで、俺は十年の年月を思い知らされることになった。

目の前に姿を見せた、十年前の「ボンゴレ二代剣豪の片割れ」は、想像以上に細く幼いガキだった。顔を見たらまず殴り飛ばして無様な体たらくを罵ってやろうと思っていたが、殴り飛ばすどころか手をあげることも、罵るどころか怒声ひとつあげることも咄嗟に忘れて目の前の「山本武」を見つめた。驚きに見開かれた子供の瞳は、今のあの男が持つ、様々な時間や想いを内包した深みのある色とは違う明るく澄んだいろをしていた。顔つきも体つきも、スクアーロ、と呼びかける声さえもまだ子供の幼さが抜けきらず、少し呆然とした頭で俺は自分の十年前を思い返した。14から24。22から32。同じ十年間ではあるが、そこに流れる時間は本当の意味で等しいものではないのだと、今さらながら思い至った。

「……スクアーロ、」
前に立ち尽くす子供は迷子になったような顔で何か言いかけ、逡巡したように口を噤んだ。常日頃よりずっと低い背のせいで、少し俯いただけで表情は見えなくなった。立ち尽くした体の横では、関節が白くなるほどきつく拳が握りしめられていた。


(――ああ、)


その拳に続く手首の細さに、ふと既視感を覚えた。
十年前、リングをかけた闘いで、最後に自分に差しのばされた手を見ながら思ったことが、またふっと心を過った。

 

(……子供の、手だ。)

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小話のvs.幻騎士と微妙につながってるようないないような。
山本が負けたと聞いて思わず十年後山本に怒鳴るノリで出てきたのはいいけど
中学生山本を前にしてその小ささとかいろんな意味での純粋さとかにショックを受けるスクアーロとかいいなーと。

十年後のスクアーロと山本がどんな関係だったかなっていうのがあって、その上で32歳スクアーロが中学生山本とどんなことになるか妄想するとほんとたまらん。はあはあ。
多分十年後の二人はすごい対等な位置にお互いいたんじゃないかなーと思います。それがいきなり山本が十年前の中学生の姿で、まだマフィアの世界に引きずり込む前の姿で現れたらきっとスクアーロはえらい混乱するだろうな…。
自分がやったことに罪悪感とかそんなの感じるキャラじゃないのは分かってるんだけど、まっさらな山本を前にしてちくちく心の隅を針で刺されるような思いをすればいい。そんでもってその片側で再度十年前の山本を「こっち側」に引きずり込むことにぞくぞくするような興奮を覚えていればいい。ビバアンビバレンツ鮫。

「てめえ、何のつもりだ」

倒れた男の首元にぐさりと剣先を突きたてて、スクアーロは不機嫌そうに眉を顰めた。
土と血に塗れて転がる男は、ただ静かにスクアーロを見上げるだけだ。その静けさに余計苛立ちが募って、いっそこのまま首を刎ねてやろうかという考えが脳裏を過ぎったが、堪えた。これは暗殺ではない。これの目的は殺しではない。

「……俺が気づかないと高くくってやがんのか」
「――何のことだ」

相変わらず感情の読めない声、感情の読めない表情。舌打ちをして荒々しく剣を抜き、もう片側の手で勢いよくスクアーロは男の胸倉を掴みあげた。体のあちこちに傷を受け、重傷と呼んでも差し支えない状態にも関わらず、男は苦痛の呻きひとつ上げなかった。自分の力を発揮する気配も見せずに一方的に叩きのめされながら、何一つ顔に浮かべず、言葉も出さない。……その様は、長く暗殺稼業に身を置いているスクアーロにとっても底知れない不気味さと不快感を感じさせた。ただひとつ彼にとって確かなのは、この男によって自分の覚悟とプライドが、加えて今まで自分が倒してきた剣士たちの覚悟とプライドさえも、踏みにじられたということだった。そしてその一方で、この剣士も、剣士としてのプライドを捨てたのだということだった。

(畜生、胸糞わりぃ)
投げ捨てるように男の襟首を離し、遠くで様子を伺うルッスーリアに軽く撤収の合図を送る。爽快感も何もなく、心の底に滓が淀んだような勝利ではあったが、何にせよ目的は達せられた。男の事情など聞く気はしなかった。
……だが、ひとつだけ言って置かなければならないことがあった。

「――てめぇが何企んでんだかは知らねえがな、甘く見んじゃねぇぜ」
「……、お前をか」
「バかが、てめぇが俺を甘く見てることなんざ判ってんだよ」
嘲るように口を歪めたあと、スクアーロは低く声を落とした

「俺の後に出る剣士をだ」

その言葉に、僅かに男の目が揺らいだ。数秒の間をおいて、男は初めて自分から口を開いた。
「――お前は、最強の、剣帝の座を欲していたのではないのか」
「はっ、剣帝か」
掠れた問いかけに、今度こそ嘲りそのものを込めて、スクアーロは笑った。
「……んな肩書きはどうだっていいんだよ」

言い捨てて背を向ける。不審気な視線に、少しだけ溜飲が下がった。
そうだ、分かる訳がない。目的が何であれ、真の意味で剣を捨てたこの男に分かるはずがない。剣士としてせめぎ合い、剣を通して語ることを放棄したこの男に、理解できるはずもない。
これの目的は、殺しではない。最強の肩書きを得るためでもない。


これはメッセージだ。
ただ一人あの男を、こちら側に引きずり込むための。


------------------------------
あーなんか支離滅裂ですが今週号を受けてかけるときに書いておこうと。
幻騎士さんかっこいいですが、剣士としてあの姿勢は良くないよね!と思ったので。
あとスクアーロは本気をだしてない幻騎士さんに気づいてただろうなーと。
ついでに、スクアーロはあんまり剣帝の座自体には拘り無さそうだなーという前々からの疑問があったのでそこらへん纏めた感じで…



以下簡易感想


へへっ まーね… がエンドレスです…
のあー!! 何だその反応は!!(ごろごろ)
あと「あ、もしかして負け惜しみ?」……(ごろごろごろ)
それとそれとラルに向けた「ちょっと行ってくる、すぐ戻るからな」(ぐはあああ!!)

幻騎士がとても格好いいです。格のある敵キャラみたいなのでこの先ほんと楽しみ。体のラインがきれいだー。
このまま手強そうなオーラ持っといて下さい。本気を出しているところを見たい。是非見たい。山本頑張れ!

「無事を祈るしかねーな」のリボーンさんの台詞から山本のシーンに移るので、無駄にいろいろ深読みしてしまいました。リボーンさんの頭の中は山本でいっぱいだと思います…。というか心配するの遅いですよツナサイド!獄寺君もう戦闘終わっちゃったよ!γさんは果たしてこのまますんなり仲間になってしまうんだろうか。

結論:いろいろ萌えはありながらも、やっぱり基本的にのんびりにこにこ癒し系な山本が好きなんだよねと呟きたくなった今週のジャンプでした。

俺には誕生日なんぞ無ぇ。


どこか照れ臭げな笑顔で突き出された花束に、喉元まで出掛かったその言葉を俺は咄嗟に呑み込んだ。
目の前の花束は白を基調にして所々に緑を置いた、シンプルなものだった。男に花束か、と揶揄するように言ってやると、でもあんたに似合いそうだと思って、と拗ねたように口を尖らせる。恐らく本人も思うところはあるのだろう。
「…誰に今日だと聞いた」
直接尋ねられた覚えは無かった。もしあったとしても、まず自分ならば答えをはぐらかしたに違いない。不審気な目に相手は「マーモンに」と笑って答えた。およそヴァリアー内のデスクワークじみた事を一手に引き受けているマーモンなら、その手の事も知っているかもしれないと思ったのだという。一体どれだけふんだくられたのか、頭を掠めた疑問にはそのまま蓋をしておくことにした。

誕生日は、それと教えてくれる人間がいて初めて存在するものだ。——なので、俺には誕生日は無い。目の前の子供が誕生日だと思いこんでいる今日は、俺がヴァリアーに正式入隊した日だ。いつか書類上の手続きで必要となったとき、頭に浮かんだのがこの日だった。それだけのことだ。
馬鹿馬鹿しい、だの、呆れたものだ、だの。目の前で揺れる白い花をぼんやり見つめながら、つらつらとそんな自嘲めいた考えが頭を巡る。…しかしその中にまた違った、形容しがたい何かがあった。柔らかな、あたたかな、落ち着かないような。認めたくはないが、心地のよい何か。

棒立ちのままの俺をどう受け取ったか、「ごめん」と、黒髪の少年の声がワントーン下がって苦笑を帯びた。
「……おれ、思ってたより全然あんたのこと、知らないことばっかりだったみてぇ」
もう結構長い間一緒にいるのにな。誕生日も欲しいものもわからなかった。そう言って困ったように笑う。
「来年は、花束以外の何かを贈れるようになるな」

俺には誕生日は無い。——もっと極端に言ってしまうなら、重ねる時間のカウントも未来へのカウントも、俺には要らない。必要なのはただ、自分の生きる現在のみだ。ヴァリアーとは、人をあやめる生業とは、そんなものだ。血で塗れた道を選択したその日が誕生日、きっとそれぐらいが丁度良い。

……だが。
差し出されたままの花束を無造作に取り上げる。ふわりと花の香が舞い、少年の顔が嬉しそうに綻ぶ。
それでもお前が俺を祝うというなら、俺の生を祝うというのなら。
…それだけでいつか、今日の日は俺にとっても真実となり得るのかもしれない。

——きっと、いつか。



「誕生日、おめでとう。スクアーロ。」



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
まに あわな かっ た ! がっくり…
折角なので祝いたいと書いてみましたが…ぁぁぁぁぁ。自分の引き出しの少なさにまたがっくり……
いやいやこういうのは祝いたい気持ちが大事なのです(開き直り)!

山本と過ごすことで、今まで捨ててきたり必要としてなかったいろいろが大事になればいいと思います。
スクアーロ誕生日おめでとう!


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基本的にズボラ。
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